藤田医科大学病院外科は、消化器、心臓血管、呼吸器、小児、臓器移植、内分泌、乳腺、緩和医療の各外科が1つに集まり統合外科という体制を作っています。各領域に各々の分野で著名な教授陣(総合消化器外科 須田、先端ロボット・内視鏡手術学 宇山、心臓血管 高木、呼吸器 星川、小児 鈴木、移植 剣持、乳腺 喜島、内分泌 日比、緩和医療 臼井)をはじめとした多くの優秀な指導医を擁し、プライマリケアから専門性の高い悪性疾患手術、臓器移植、低侵襲手術まで満遍なく学べる環境です。当院は1,376床を有する本邦最大規模の大学病院で、年間14,000件以上の手術を実施し、豊富な症例数を誇っています。特に手術室では3台のda Vinci Xi Surgical Systemと1台のhinotori Surgical Robot Systemが稼働し、年間800件に迫るロボット手術を施行しています。また、充実した連携施設を有し、希望に応じた様々な形での外科専門医専攻研修が行える環境を整えています。消化器内科との連携により消化器内視鏡等内科系専門医取得も可能です。2012年にda Vinciの手術トレーニングを行うダヴィンチ低侵襲手術トレーニング施設、2019年にロボット手術のトレーニングも施行できるカダバーサージカルトレーニング施設、2020年にhinotoriの手術トレーニングを行うメディカロイドインテリジェンスラボラトリー(MIL)を順次開設しました。これらの施設を活用して、次世代を担う若手低侵襲手術執刀医を数多く育成しています。最新のエビデンスに基づいた集学的治療により根治性向上を追求する一方、個々の患者さんのニーズに応じて腹腔鏡/胸腔鏡手術やロボット手術などの低侵襲手術を積極的に活用し、合併症が少なく機能温存に優れた手術を提供すべくスタッフ一同切磋琢磨しています。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ見学にお越しください。
2023 年 4月 1日
藤田医科大学医学部 総合消化器外科学 主任教授
須田 康一
藤田医科大学外科専門研修プログラムの目的と使命は以下の5点です。
1) | 専攻医が医師として必要な基本的診療能力を習得すること |
2) | 専攻医が外科領域の専門的診療能力を習得すること |
3) | 上記に関する知識・技能・態度と高い倫理性を備えることにより、患者に信頼され、標準的な医療を提供でき、プロフェッショナルとしての誇りを持ち、患者への責任を果たせる外科専門医となること |
4) | 外科専門医の育成を通して国民の健康・福祉に貢献すること |
5) | 外科領域全般からサブスペシャルティ領域(消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、小児外科、乳腺、内分泌外科)またはそれに準じた外科関連領域の専門研修を行い、それぞれの領域の専門医取得へと連動すること |
藤田医科大学病院と連携施設(25施設)により専門研修施設群を構成します。
本専門研修施設群では171名の専門研修指導医が専攻医を指導します。
本専門研修施設群の3年間NCD登録数は24936例で、専門研修指導医は171名のため、本年度の募集専攻医数は10名です。
● | 3年間の専門研修期間中、基幹施設または連携施設で最低6カ月以上の研修を行います。 |
● | 専門研修の3年間の1年目、2年目、3年目には、それぞれ医師に求められる基本的診療能力・態度(コアコンピテンシー)と外科専門研修プログラム整備基準にもとづいた外科専門医に求められる知識・技術の習得目標を設定し、その年度の終わりに達成度を評価して、基本から応用へ、さらに専門医としての実力をつけていくように配慮します。具体的な評価方法は後の項目で示します。 |
● | 専門研修期間中に大学院へ進むことも可能です。大学院コースを選択して臨床に従事しながら臨床研究を進めるのであればその期間は専門研修期間として扱われます。 |
● | サブスペシャルティ領域によっては外科専門研修を修了し、外科専門医資格を習得した年の年度初めに遡ってサブスペシャルティ領域専門研修の開始と認める場合があります。サブスペシャルティ領域連動型については現時点では未定です。 |
● | 研修プログラムの修了判定には規定の経験症例数が必要です。(専攻医研修マニュアル-経験目標2-を参照) |
● | 初期臨床研修期間中に外科専門研修基幹施設ないし連携施設で経験した症例(NCDに登録されていることが必須)は、研修プログラム統括責任者が承認した症例に限定して、手術症例数に加算することができます。 |
● | 専攻医の研修は、毎年の達成目標と達成度を評価しながら進められます。以下に年次毎の研修内容・習得目標の目安を示します。なお、習得すべき専門知識や技能は専攻医研修マニュアルを参照してください。 |
● | 専門研修1年目では、基本的診療能力および外科基本的知識と技能の習得を目標とします。専攻医は定期的に開催されるカンファレンスや症例検討会、抄読会、院内主催のセミナーの参加、e-learningや書籍や論文などの通読、日本外科学会が用意しているビデオライブラリーなどを通して自らも専門知識・技能の習得を図ります。 |
● | 専門研修2年目では、基本的診療能力の向上に加えて、外科基本的知識・技能を実際の診断・治療へ応用する力量を養うことを目標とします。専攻医はさらに学会・研究会への参加などを通して専門知識・技能の習得を図ります。 |
● | 専門研修3年目では、連携施設に出向し、チーム医療において責任を持って診療にあたり、後進の指導にも参画し、リーダーシップを発揮して、外科の実践的知識・技能の習得により様々な外科疾患へ対応する力量を養うことを目標とします。カリキュラムを習得したと認められる専攻医には、積極的にサブスペシャルティ領域専門医取得に向けた技能研修へ進みます。 |
[ 具体例 ]
下図に藤田医科大学外科研修プログラムの1例を示します。基幹施設の専攻医は6ヶ月以上連携施設で研修を行います。 連携施設の専攻医は6ヶ月以上基幹施設で研修を行います。
藤田医科大学外科研修プログラムでの3年間の施設群ローテートにおける研修内容と予想される経験症例数を下記に示します。どのコースであっても内容と経験症例数に偏り、不公平がないように十分配慮します。
藤田医科大学外科研修プログラムの研修期間は3年間としていますが、習得が不十分な場合は習得できるまで期間を延長することになります(未修了)。一方で、カリキュラムの技能を習得したと認められた専攻医には、積極的にサブスペシャルティ領域専門医取得に向けた技能教育を開始し、また大学院進学希望者には、臨床研修と併行して研究を開始することができます。
専門研修1年目
藤田医科大学病院に所属し12ヶ月研修を行います。
一般外科/麻酔/救急/病理/消化器/心・血管/呼吸器/小児/乳腺・内分泌
◇ 経験症例200例以上(術者30例以上)
専門研修2年目
藤田医科大学病院に所属し12ヶ月研修を行います。
一般外科/麻酔/救急/病理/消化器/心・血管/呼吸器/小児/乳腺・内分泌
◇ 経験症例350例以上/2年(術者120例以上/2年)
専門研修3年目
原則として連携施設で研修を行います。
(連携施設重点コース)
藤田医科大学病院を基本研修施設とし、連携施設で1年目3ヶ月、2年目12ヶ月の研修を行うコースと連携施設を基本研修施設とし、藤田医科大学病院で6ヶ月の研修を行うコースがあります。
(大学院コース)
社会人大学院に進学し,臨床研究または学術研究・基礎研究を開始します。ただし,研究専任となる基礎研究は6か月以内とします。
● | 専攻医研修マニュアルの到達目標1(専門知識)、到達目標2(専門技能)、到達目標3(学問的姿勢)、到達目標4(倫理性、社会性など)を参照してください。 |
● | 藤田医科大学病院および連携施設それぞれにおいて医師および看護スタッフによる治療および管理方針の症例検討会を行い、専攻医は積極的に意見を述べ、同僚の意見を聴くことにより、具体的な治療と管理の論理を学びます。 |
● | 放射線診断・病理合同カンファレンス:手術症例を中心に放射線診断部とともに術前画像診断を検討し、切除検体の病理診断と対比いたします。 |
● | Cancer Board:複数の臓器に広がる進行・再発例や、重症の内科合併症を有する症例、非常に稀で標準治療がない症例などの治療方針決定について、内科など関連診療科、病理部、放射線科、緩和、看護スタッフなどによる合同カンファレンスを行います。 |
● | 藤田医科大学病院と連携施設による症例検討会:各施設の専攻医や若手専門医による研修発表会を毎年1月に大学内の施設を用いて行い、発表内容、スライド資料の良否、発表態度などについて指導的立場の医師や同僚・後輩から質問を受けて討論を行います。 |
● | 各施設において抄読会や勉強会を実施します。専攻医は最新のガイドラインを参照するとともにインターネットなどによる情報検索を行います。 |
● | 大動物を用いたトレーニング設備や教育DVDなどを用いて積極的に手術手技を学びます。 |
● | 日本外科学会の学術集会(特に教育プログラム)、e-learning、その他各種研修セミナーや各病院内で実施されるこれらの講習会などで下記の事柄を学びます。 |
● | 標準的医療および今後期待される先進的医療 |
● | 医療倫理、医療安全、院内感染対策 |
専攻医は、医学・医療の進歩に遅れることなく、常に研鑽、自己学習することが求められます。患者の日常的診療から浮かび上がるクリニカルクエスチョンを日々の学習により解決し、今日のエビデンスでは解決し得ない問題は臨床研究に自ら参加、もしくは企画する事で解決しようとする姿勢を身につけます。学会には積極的に参加し、基礎的あるいは臨床的研究成果を発表します。さらにえられた成果は論文として発表し、公に広めるとともに批評を受ける姿勢を身につけます。
研修期間中に以下の要件を満たす必要があります。
(専攻医研修マニュアル-到達目標3-参照)
● | 日本外科学会定期学術集会に1回以上参加 |
● | 指定の学術集会や学術出版物に,筆頭者として症例報告や臨床研究の結果を発表 |
医師として求められるコアコンピテンシーには、
態度、倫理性、社会性などが含まれています。
内容を具体的に示します。
● | 医療専門家である医師と患者を含む社会との契約を十分に理解し、患者、家族から信頼される知識・技能および態度を身につけます。 |
● | 患者の社会的・遺伝学的背景もふまえ患者ごとに的確な医療を目指します。 |
● | 医療安全の重要性を理解し事故防止、事故後の対応をマニュアルに沿って実践します。 |
● | 臨床の現場から学び続けることの重要性を認識し、その方法を身につけます。 |
● | チーム医療の必要性を理解しチームのリーダーとして活動します。 |
● | 的確なコンサルテーションを実践します。 |
● | 他のメディカルスタッフと協調して診療にあたります。 |
● | 自らの診療技術、態度が後輩の模範となり、また形成的指導が実践できるように学生や初期研修医および後輩専攻医を指導医とともに受け持ち患者を担当し、チーム医療の一員として後輩医師の教育・指導を担います。 |
● | 健康保険制度を理解し保健医療をメディカルスタッフと協調し実践します。 |
● | 医師法・医療法、健康保険法、国民健康保険法、老人保健法を理解します。 |
● | 診断書、証明書が記載できます。 |
本研修プログラムでは藤田医科大学病院を基幹施設とし、地域の連携施設とともに病院施設群を構成してします。専攻医はこれらの施設群をローテートすることにより、多彩で偏りのない充実した研修を行うことが可能となります。これは専攻医が専門医取得に必要な経験を積むことに大変有効です。大学だけの研修では稀な疾患や治療困難例が中心となりcommon diseasesの経験が不十分となります。この点、地域の連携病院で多彩な症例を多数経験することで医師としての基本的な力を獲得します。このような理由から施設群内の複数の施設で研修を行うことが非常に大切です。
藤田医科大学外科研修プログラムのどのコースに進んでも指導内容や経験症例数に不公平が無いように十分配慮します。
施設群における研修の順序、期間等については、専攻医数や個々の専攻医の希望と研修進捗状況、各病院の状況、地域の医療体制を勘案して、藤田医科大学外科専門研修プログラム管理委員会が決定します。
地域の連携病院では責任を持って多くの症例を経験することができます。また、地域医療における病診・病病連携、地域包括ケア、在宅医療などの意義について学ぶことができます。以下に本研修プログラムにおける地域医療についてまとめます。
● | 本研修プログラムの連携施設には、その地域における地域医療の拠点となっている施設(地域中核病院、地域中小病院)が入っています。そのため、連携施設での研修中に以下の地域医療(過疎地域も含む)の研修が可能です。 |
● | 地域の医療資源や救急体制について把握し、地域の特性に応じた病診連携、病病連携のあり方について理解して実践します。 |
● | 消化器がん患者の緩和ケアなど、ADLの低下した患者に対して、在宅医療や緩和ケア専門施設などを活用した医療を立案します。 |
専門研修中の専攻医と指導医の相互評価は施設群による研修とともに専門研修プログラムの根幹となるものです。
専門研修の1年目、2年目、3年目のそれぞれに、コアコンピテンシーと外科専門医に求められる知識・技能の習得目標を設定し、その年度の終わりに達成度を評価します。このことにより、基本から応用へ、さらに専門医として独立して実践できるまで着実に実力をつけていくように配慮しています。専攻医研修マニュアルVIを参照してください。
基幹施設である藤田医科大学病院には、専門研修プログラム管理委員会と、専門研修プログラム統括責任者を置きます。連携施設群には、専門研修プログラム連携施設担当者と専門研修プログラム委員会組織が置かれます。藤田医科大学外科専門研修プログラム管理委員会は、専門研修プログラム統括責任者(委員長)、副委員長、事務局代表者、外科の専門分野(総合消化器外科、先端ロボット・内視鏡手術学、心臓血管外科、血管外科、呼吸器外科、小児外科、臓器移植科、乳腺外科、内分泌外科、緩和医療科、災害外傷科)の研修指導責任者、および連携施設担当委員などで構成されます。研修プログラムの改善へ向けての会議には専門医取得直後の若手医師代表が加わります。専門研修プログラム管理委員会は、専攻医および専門研修プログラム全般の管理と、専門研修プログラムの継続的改良を行います。
1) | 専門研修基幹施設および連携施設の外科責任者は専攻医の労働環境改善に努めます。 |
2) | 専門研修プログラム統括責任者または専門研修指導医は専攻医のメンタルヘルスに配慮します。 |
3) | 専攻医の勤務時間,当直,給与,休日は労働基準法に準じて各専門研修基幹施設,各専門研修連携施設の施設規定に従います。 |
3年間の研修期間における年次毎の評価表および3年間の実地経験目録にもとづいて、知識・技能・態度が専門医試験を受けるのにふさわしいものであるかどうか、症例経験数が日本専門医機構の外科領域研修委員会が要求する内容を満たしているものであるかどうかを、専門医認定申請年(3年目あるいはそれ以後)の3月末に研修プログラム統括責任者または研修連携施設担当者が研修プログラム管理委員会において評価し、研修プログラム統括責任者が修了の判定をします。
専攻医研修マニュアルVIIIを参照してください。
外科学会のホームページにある書式(専攻医研修マニュアル、研修目標達成度評価報告用紙,専攻医研修実績記録,専攻医指導評価記録)を用いて、専攻医は研修実績(NCD登録)を記載し、指導医による形成的評価、フィードバックを受けます。総括的評価は外科専門研修プログラム整備基準に沿って、少なくとも年1回行います。
藤田医科大学外科にて、専攻医の研修履歴(研修施設、期間、担当した専門研修指導医)、研修実績、研修評価を保管します。さらに専攻医による専門研修施設および専門研修プログラムに対する評価も保管します。
プログラム運用マニュアルは以下の専攻医研修マニュアルと指導者マニュアルを用います。
● | 専攻医研修マニュアル 別紙「専攻医研修マニュアル」参照。 |
● | 指導者マニュアル 別紙「指導医マニュアル」参照。 |
● | 専攻医研修実績記録フォーマット 「専攻医研修実績記録」に研修実績を記録し、手術症例はNCDに登録します。 |
● | 指導医による指導とフィードバックの記録 「専攻医研修実績記録」に指導医による形成的評価を記録します。 |
藤田医科大学外科専門研修プログラム管理委員会は、毎年9月から説明会等を行い、外科専攻医を募集します。プログラムへの応募者は、11月頃(不定期)に研修プログラム責任者宛に所定の形式の『藤田医科大学外科専門研修プログラム応募申請書』および履歴書を提出してください。申請書は(1) 藤田医科大学のwebsite (http://www.fujita-hu.ac.jp/medicine/resident/index.html)よりダウンロード、(2)電話で問い合わせ 臨床研修センター 0562-93-2260、(3) e-mailで問い合わせkenshu-1@fujita-hu.ac.jp、のいずれの方法でも入手可能です。原則として12月中に書類選考および面接を行い、採否を決定して本人に文書で通知します。応募者および選考結果については12月の藤田医科大学外科専門研修プログラム管理委員会において報告します。
研修を開始した専攻医は、各年度の5月31日までに以下の専攻医氏名報告書を、日本外科学会事務局および、専門医機構外科研修委員会に提出します。
・ | 専攻医の氏名と医籍登録番号、日本外科学会会員番号、専攻医の卒業年度 |
・ | 専攻医の履歴書(様式15-3号) |
・ | 専攻医の初期研修修了証 |
日本専門医機構が認定した外科専門研修施設群において通算3年(以上)の臨床研修をおこない、外科専門研修プログラムの一般目標、到達(経験)目標を修得または経験すること。
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